Aは団子を売りながらBの醜態を見ていた。 「ああいうのがいるから酒好きが誤解されるんだよな……」 と、実家が酒屋のAはぼやきつつも、Bに注意するほどの勇気も怒りもなく、再び団子を串に刺す作業に戻った。 |
痛みに顔をしかめながら、Bは顔をあげた。 目に入ったのは、どこか見覚えのある青年の忙しそうに動き回る姿。 (ああ、そうか……) 母が倒れた日、呑気に花見なんかしている病院に当てつけたくて、わざと汚い飲み方をしたあの日。 こちらのことなど何処吹く風で団子を売っていたあの青年だ。 思い至ると、あの日の自分の風体とがとても恥ずかしく思い出される。 そのうえ今回は八つ当たりで自分の机を蹴って今度は骨折するなんて、なんて間抜けなんだろう。 不意に泣きたくなって、Bは自分の顔を手で覆った。 |